刑法の雑学 | トリビアバンク
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刑法の雑学

刑法の雑学

罪とはどういうもの?

日本には日本国憲法があり、やってはいけない事というのがいくつか定められています。
憲法に違反すれば犯罪となりますので、処罰の対象となります。
しかし普段はよほどのことがない限り刑法に違反するような事はありませんし、悪いとわかっている事はしません。
でも知らないだけで、もしかしたら刑法に反している事もあるかもしれません。

一般的に行為を行う事を作為と言いますが、行為を行わない事は不作為と言います。
行わなければならない行為は作為義務と言い、これは法律上の義務となるため違反ではありません。
ただし良くない結果が発生する場合に、それを防止するための作為行為が存在しない場合に限り犯罪とはなりません。
ちょっと言い方が難しいので、具体的な例で説明します。

例えばあなたが家の前の道を歩いていた時に、見ず知らずの人が泥酔して道で寝込んでいたとします。
この時知らない人だから声をかけずに放置してしまいその人が死んでしまった時、あなたは罪に問われるか、問われないかどちらだと思いますか?
結論から言えば罪にはなりません。

泥酔して寝ていた人がいた場合、いくら自分の家の前の道だからと言っても、見ず知らずの他人である以上、その人を助ける義務はありません。
仮にそのまま放置していたら、死んでしまうかも?と一瞬頭をよぎったとしても、助けなければいけない義務はないため罪に問われる事はありません。
これが作為義務が存在しないという事です。

作為義務があるのはどんな時?

では作為義務が発生するケースを見てみましょう。
作為義務が生じるのは、契約や慣習が絡んでくる時です。
例えば泥酔して寝ていた人が、配偶者や自分の子供、親、同居人であった場合は、作為義務があるのに助けなかった事になるため、罪になります。
家族が健康でも、障害を抱えていても、助ける義務がある以上は、助けず放置した結果死んでしまえば罪になるのです。

家族や同居人以外では、自分が相手に怪我をさせたり、自動車や自転車で重傷を負わせたりした場合も作為義務が発生します。
事故を起こし相手に怪我をさせた場合は、それが軽傷でも重傷でも助けなければいけませんし、そういう義務があると法律で決まっています。
事故を起こした事が発覚するのを恐れてそのまま逃げてしまうと、これは立派な犯罪です。

見ず知らずの人でも見かけていて、何もしなかった事で死んでしまったと知ったら精神的にもショックを受けますが、仮に何もせず立ち去ってもこの場合は罪にはなりません。
しかしこれが家族や同居人の場合は、作為義務が発生するため、放置してはいけないのです。
境界線が難しいところですが、作為という事、作為義務という事を意識すると、毎日の生活も少し変わってくるかもしれません。